アピリッツ社が語る、クロスボーダーM&A成功の裏側とは
Webソリューション事業やデジタル人材事業を展開する 株式会社アピリッツ。
同社は近年、ベトナム企業「BUNBU社」のM&Aを実施し、グローバルな開発体制の強化を進めている。
今回は、同社 取締役 執行役員CSOの 中館 博貴氏 にインタビューを実施。 M&Aを検討した背景から、クロスボーダー案件ならではの苦労、成立後のシナジー、そしてAI時代を見据えた今後のM&A戦略について伺った。
会社概要と中館氏の役割について
──まずは貴社の事業概要と、中館様ご自身について教えてください
当社は2000年に設立しておりまして、現在27期目を迎えております。グループ全体では約886名の従業員がおり、孫会社を含めて6社のグループ体制となっております。
事業としては大きく3つございまして、1つ目がWebソリューション事業です。SIやシステム開発、アプリケーション開発などを中心に行っております。
2つ目がデジタル人材育成派遣事業で、開発リソースが不足している企業様に対して、デジタル人材を提供しております。
3つ目が“推しカルチャー&ゲーム事業”で、推し活関連アプリやゲーム開発、ファンクラブサイトの開発・運営などを手掛けております。
私自身は、元々グループ会社である株式会社Y’sの取締役を務めておりました。その後株式会社アピリッツへ株式売却後に、当社へ参画いたしました。
現在は、M&A推進やグループシナジーの検討、IR、経営企画など、コーポレート領域全般を管掌しております。

アピリッツ社のM&A戦略とは
──貴社では、どのような方針でM&Aを進めているのでしょうか。
当社では、M&Aを事業課題を解決するための重要な戦略の1つとして位置付けております。
特にWebソリューション事業においては、
・PM人材の不足
・開発ラインの強化
・コスト最適化
という3つの課題があり、それらを解決する手段としてM&Aを活用しております。
ターゲット企業様は、社長ご自身がエンジニア出身で、1〜2億円規模の案件を回せる技術力を持っている企業様を重視しております。
また、技術力はあるものの、営業やバックオフィスがボトルネックになっており、事業成長が伸び悩んでいる企業様にも注目しております。
技術面ではRuby on Railsとの親和性を重視しておりまして、PHP、Laravel、JavaなどWeb系技術とのシナジーも特に重要視しております。
BUNBU社買収を検討した背景
──今回、BUNBU社とのM&Aを検討されたきっかけを教えてください。
大きな転機となったのは、グループ会社であるBee2B株式会社の存在でした。
同社ではベトナム企業を活用した開発を行っているのですが、実際に現場を見る中で、“日本以上の品質とスピード”を実現していることを目の当たりにしました。
その経験を通じて、国内のSIer企業だけではなく、海外企業にも視野を広げるべきだという経営判断につながりました。当社にとっては、1番の転換期だったと考えております。
また、BUNBU社とは、
・Bee2B株式会社が協力会社で以前から接点があった
・ハノイ工科大学出身という共通点
・社員の方々が日本語が堪能で真面目なお人柄であった
・日本企業との取引実績が豊富だったこと
など、技術面だけでなく文化面でも親和性が高いと感じておりました。

クロスボーダーM&Aで苦労したポイント
──今回のM&Aで印象的だったことはありますか。
やはり、初めてのクロスボーダーM&Aだったという点が最も大きな挑戦でした。
ベトナム独自のIRC・ERC関連等の手続きなど、日本国内案件とは異なるお作法やルールも多く、苦労をした点があります。こちらは、協力会社専門家の皆様にご協力いただきながら、1つ1つ丁寧に進めていくことができました。
また、M&A成立後にはベトナム会計基準から日本基準(J-GAAP)への統合作業も発生し、決算直前というタイミングでした。言葉の壁や決算スケジュール等の厳しい制限の中で、当社の管理部門・経理部門はよくやり切ってくれたと思います。
一方で、現地で実施した調印式は印象に残っています。
現地スタッフの皆様が、日本企業とベトナム企業が一緒になることを本当に歓迎してくださって、“国境を超えたチームの一体感”を感じることができたことが、とても印象的でした。
成立後に感じた事業シナジー
──M&A成立後、どのようなシナジーを感じていますか。
M&A成立後、BUNBU社には当社の高難度案件へ参画いただいております。
厳しいスケジュール下でも、高品質かつスピード感のある成果物を出していただいております。通常であれば、コストが高くなりそうなものを、ベトナムのコスト感で成立していることもあり、事業において大きなシナジーを感じています。
また、BUNBU社側のAI活用への取り組みについても共有いただいており、グループ全体として刺激を受けています。

アドバイザーへの評価
──今回のM&Aにおけるアドバイザーについてはいかがでしたか。
今回のご支援では、単なる仲介ではなく、プロジェクトマネージャーとして並走していただいた印象が強いです。
特に印象的だったのは、
・圧倒的なレスポンスの速さ
・複雑なクロスボーダー案件における専門家チームの組成と高い実務対応力
・当社リソース不足を理解した上での質の高いサポート
といった部分ですね。
クロスボーダー案件は不確定要素も多いのですが、その中でも粘り強く伴走していただきました。
仲介として間に入るだけではなく、M&A成約までしっかり導いていただいたという印象です。
今回の案件については、支払った手数料以上に大きな価値があったと感じています。
ぜひ、今後も継続的にご支援をいただきたいと思っております。

AI時代における今後のビジョン
──最後に、今後のビジョンについて教えてください。
現在、SIer業界はAIによる大きな転換期に入っていると感じています。
今後は単なる開発会社ではなく、“AIを活用して顧客のDXを加速させるパートナー”としてお客様へより高い価値を提供していきたいと考えております。
そのためには、当社の人材だけでは限界がありますので、M&Aを通じて、仲間を増やしながら、アピリッツグループ全体でお客様の課題を解決していきたいと思っております。

