この記事のポイント
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後継者不在率は54.5%(2023 年)(※1)、2024 年の調査では東京都の企業の 51.1%(※2) と依然2社に1社以上で後継者が決まっていない現状が続く。
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休廃業・解散件数は 6 万 9,019 件(2024 年)で過去最多。資産を残したまま市場から退出する「黒字廃業」が6割超。(※3)
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いま国内M&A件数は4,700 件(2024 年)と最多を更新し「第三者承継」が増えている。(※4)
中小企業の後継者不足問題とは?
後継者不足の現状と影響
中小企業の後継者不足問題は、日本経済の活性化を阻害する深刻な問題として認識されています。近年、高齢化が進むとともに、後継者となる人材が不足し、事業の存続が危ぶまれる企業が増加しています。後継者不足は、企業の経営悪化や従業員の雇用不安、地域経済の衰退など、さまざまな悪影響を及ぼします。業種別の後継者不足状況
後継者不足は、業種によってその深刻度が異なります。特に、製造業や建設業、小売業など、伝統的な産業においては、後継者不足が顕著です。これらの産業では、長年の経験や技術が求められるため、若手社員がすぐに後継者として活躍するのは難しい状況です。また、近年では、IT業界やサービス業など、新規参入しやすい業種においても、後継者不足が問題視されるケースが増えています。これは、これらの業種では、常に変化に対応する柔軟性や新しい技術への適応能力が求められるため、経験豊富な人材が不足していることが原因と考えられます。地域別の後継者不足状況
後継者不足は、地域によってもその状況が異なります。特に、地方都市や過疎地域では、人口減少や若者の流出が深刻化しており、後継者不足が顕著です。これらの地域では、企業の規模が小さく、経営資源も限られているため、後継者探しは困難を極めます。また、地域によっては、伝統的な産業が衰退し、新たな産業が育ちにくい状況も後継者不足を助長しています。後継者不足の現状を数字で把握する
後継者不足の原因
親族が後継者になりたがらない理由
親族が後継者を引き継ぎたがらない理由は、さまざまな要因が考えられます。まず、事業の負担の大きさや責任の重さが挙げられます。中小企業では、経営者自身が多くの業務を担うことが多く、後継者も多岐にわたる業務をこなす必要があり、その負担は非常に大きいです。また、経営は常にリスクを伴うため、失敗した場合の責任も重く、親族がその責任を負うことをためらうケースも少なくありません。さらに、親族が事業に興味を持っていなかったり、他のキャリアを希望していたりするケースも考えられます。従業員引継ぎの難しさ
従業員が後継者になる場合、経営者としての経験や知識、能力を身につける必要があります。しかし、中小企業では、経営者としての教育や研修制度が整っているケースは少なく、従業員が経営者としてのスキルを習得するのは容易ではありません。また、従業員が経営者になることで、社内の人間関係や権力構造が変化し、組織運営が混乱する可能性もあります。そのため、従業員が後継者になるには、十分な準備と計画が必要となります。少子化の影響
少子化は、後継者不足問題を深刻化させる要因の一つです。少子化によって、将来的な労働力人口が減少するだけでなく、後継者候補となる人材も減少し、企業は後継者探しに苦労する状況となっています。特に、中小企業では、親族以外から後継者を探す場合、人材の確保が困難になるケースが多く見られます。事業の未来に対する不安
後継者不足は、事業の未来に対する不安を生み出します。後継者がいない場合、事業は縮小または廃止せざるを得なくなり、従業員の雇用が失われる可能性があります。また、地域経済への影響も大きく、地域活性化の阻害要因となる可能性もあります。そのため、事業の存続を図るためには、後継者問題を早期に解決することが重要です。資金・税務への不安
親族内承継において重要なのは、贈与税・相続税、株式評価額の算定があげられます。しかし、これらを正確に把握することは難しく煩雑で、どうしてもこの問題に腰を据えて向き合う事が先送る傾向があります。情報不足
中小企業の後継者問題に対する解決策
親族内承継のすすめ
親族内承継は、事業のノウハウや顧客との信頼関係を継承しやすいというメリットがあります。しかし、親族内承継では、事業の負担や責任を負うことへの抵抗感、家族間の確執、経営能力の不足など、さまざまな課題が生じる可能性があります。そのため、親族内承継を行う場合は、事前に十分な準備と計画が必要となります。従業員の昇進で後継者を確保する方法
従業員を後継者として育成することで、事業のノウハウや企業文化を継承することができます。従業員を後継者として育成する場合は、経営者としての能力や資質を評価し、適切な教育や研修を提供することが重要です。また、従業員が経営者になることに対する不安や抵抗感を解消し、モチベーションを高めることが重要です。例えば、以下のような育成プランを用意することもおすすめです。承継ロードマップの公開
代表退任までの年次マイルストーンを全社員に周知。
KPI 可視化
財務・顧客・人材指標をダッシュボード化し「経営の見える化」。
経営参加プログラム
各部門長を経営会議に招き「疑似社長体験」を提供。
外部人材の積極的な導入
外部人材を積極的に採用することで、新たな視点や知識、経験を企業に導入することができます。外部人材を採用する場合は、経営能力や事業に対する熱意、企業文化への適応能力などを評価することが重要です。また、外部人材がスムーズに企業に溶け込むよう、適切なサポートを提供することが重要です。経営人材マッチング促進事業
地域企業経営人材マッチング促進事業、先導的人材マッチング事業、プロフェッショナル人材事業 があります。金融庁 地域金融機関による人材仲介 特設サイト
プロ経営者・副業CXOサービス
週1回 CxO として参画し、半年で後継者候補へ昇格するケースも。
M&Aによる事業継承のメリット
M&Aは、事業をスムーズに継承できる方法の一つです。M&Aによって、事業のノウハウや顧客との信頼関係を継承することができます。また、M&Aによって、新たな資金調達や事業拡大の機会を得ることも可能です。しかし、M&Aは、企業規模や事業内容、経営理念など、さまざまな要素を考慮する必要があるため、慎重な検討が必要です。事業承継・引継ぎ支援センターの利用
事業承継・引継ぎ支援センターは、後継者探しや事業承継に関する相談、支援を行っています。事業承継・引継ぎ支援センターでは、後継者候補の探し方、事業承継の方法、資金調達など、さまざまな情報を提供しています。また、事業承継に関する専門家を紹介してくれるケースもあります。こちらの記事も参考にしてください。「事業承継とは? 経営者が知っておくべき基礎知識と選択肢について解説!」
後継者不足の問題はなぜ早期に取り組む必要があるのか
早期計画の重要性
後継者不足問題は、早期に計画を立て、対策を進めることが重要です。後継者問題を放置すると、事業の存続が危ぶまれるだけでなく、従業員の雇用不安や地域経済への悪影響も懸念されます。そのため、後継者問題を早期に解決することで、事業の安定的な成長と地域経済の活性化に貢献することができます。事業承継のための具体的ステップ
事業承継は、以下のステップを踏んで行うことが重要です。 1. 後継者候補の選定:後継者候補を複数名選定し、それぞれの能力や資質を評価します。 2. 事業承継計画の作成:事業承継の目標、方法、スケジュールなどを明確に定めた計画を作成します。 3. 後継者育成:後継者候補に対して、経営者としての能力や知識、経験を習得するための教育や研修を提供します。 4. 事業承継の実施:事業承継計画に基づき、事業の引継ぎを行います。 5. 事業承継後のサポート: 事業承継後も、後継者をサポートし、事業の安定的な成長を支援します。事業を引き継ぐための研修プログラム
事業を引き継ぐための研修プログラムでは、経営戦略、財務管理、人事管理、法務など、経営者として必要な知識やスキルを習得することができます。また、事業承継に関する法律や税金、社会保険などの知識を学ぶことも重要です。研修プログラムは、外部の専門機関や大学、企業などが提供しています。公的支援・補助金の活用方法
| 制度 | 概要 | 上限/補助率 | 詳細 |
|---|---|---|---|
| 事業承継・引継ぎ補助金 | M&A費用や設備投資を補助 | 600〜800 万円/1/2又は2/3以内 | 中小企業庁 事業承継・引継ぎ補助金 |
| 事業承継税制(特例措置) | 自社株の贈与・相続税を猶予 | 特例承継計画等の手続きが必要 | 国税庁 事業承継税制特集 事業承継税制とは? 制度の内容やポイントをわかりやすく解説! |
| 事業承継・引継ぎ支援センター | 専門家派遣・マッチング支援(全国 47 都道府県) | 無料 | 独立行政法人 中小企業基盤整備機構 事業承継・引継ぎ支援センター 事業承継・引継ぎ支援センターとは?その役割とサポート内容を徹底解説 |
後継者問題まとめ
価値ある会社を「畳む」のか「託す」のか──決めるのは“情報量”と“準備期間”です。後継者問題の解決に向けて
後継者不足問題は、日本経済の活性化にとって深刻な問題です。後継者問題を解決するためには、企業は、親族内承継、従業員育成、外部人材の採用、M&Aなど、さまざまな方法を検討する必要があります。また、政府や自治体も、後継者不足問題の解決に向けて、事業承継支援、人材育成、資金調達などの支援策を強化していく必要があります。早期の計画と実行
後継者問題は、早期に計画を立て、実行することが重要です。後継者問題を放置すると、事業の存続が危ぶまれるだけでなく、従業員の雇用不安や地域経済への悪影響も懸念されます。そのため、後継者問題を早期に解決することで、事業の安定的な成長と地域経済の活性化に貢献することができます。専門家の相談とサポートを利用する
後継者問題の解決には、専門家の知識や経験が不可欠です。事業承継に関する専門家や弁護士、税理士などの専門家に相談することで、適切なアドバイスやサポートを受けることができます。専門家のサポートを活用することで、事業承継をスムーズに進めることができます。執筆者 株式会社M&A共創パートナーズ M&Aアドバイザー 篠浦 隆宏 株式会社みずほ銀行に入行し、富裕層向けの資産運用の提案に従事。株式会社日本M&Aセンターへ転職後、M&Aコンサルタントとして幅広い業種のM&Aをサポート。前職は、新興のM&Aブティックにて主にIT企業のM&A案件を担当し、数多くの譲渡企業の支援に従事。
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